出典：ポリティコ
原文翻訳: BitpushNews
トランプ一家の最新の暗号通貨ビジネスは、共和党がデジタル資産業界の規制を緩和するために必要な超党派の支持を危うくする可能性がある。
共和党議員らは、長らく約束されていた暗号化法案をドナルド・トランプ大統領に提出し、署名を得ることに熱心であり、そのためには民主党の支持が必要だ。
しかし、トランプ大統領の息子らが設立した企業は先週、新たなデジタル通貨を発行すると発表した。この動きにより、トランプ大統領が民主党の支持をさらに獲得することが難しくなる可能性がある。
昨年秋、トランプ大統領の長男エリック・トランプ氏とドナルド・トランプ・ジュニア氏は、ワールド・リバティ・ファイナンシャルという暗号通貨会社を設立した。
ワールド・リバティ・ファイナンシャルの新しいステーブルコインは米ドルに連動するトークンであり、トランプ一家は、暗号資産に正当性を与え、業界に利益をもたらす規制ルールを作成することを目的とした共和党主導の法案から利益を得ることができる可能性がある。
議会両院の民主党議員数名は共和党主導のステーブルコイン法案への支持を表明しているが、「トランプ要因」が障害となる可能性がある。匿名を条件に話した民主党の補佐官によると、下院金融サービス委員会の民主党トップであるカリフォルニア州選出のマキシン・ウォーターズ下院議員は、法案にトランプ大統領とイーロン・マスク氏によるステーブルコインの発行を禁止する条項が含まれていない場合、今週の委員会採決で法案に反対すると予想されている。
議会の仮想通貨法案交渉に携わる民主党議員らは、トランプ一家によるステーブルコインの発表が立法過程の障害になっていると述べた。
「これ以上に超党派主義を破壊するものは考えられない」と下院金融サービス委員会の民主党筆頭議員、コネチカット州のジム・ハイムズ議員は語った。同氏は過去にもステーブルコインの法案を支持しており、今週もそうしたいと述べた。
この懸念は、デジタル資産業界のように幅広く超党派的な問題であっても、トランプ時代に超党派主義を達成することの難しさを浮き彫りにしている。また、トランプ大統領とその家族が暗号通貨を受け入れていることが、共和党議員にとってある意味、いかに問題であるかを示している。
議会における業界の最も熱心な支持者でさえ、ワールド・リバティの最新の動きが民主党との交渉の障害となる可能性があることを認めた。
「問題になるはずはないが、おそらく問題になるだろう」とワイオミング州選出の共和党上院議員シンシア・ルミス氏は語った。彼女は暗号通貨業界を支援する法律制定を推進する上で重要な役割を果たしてきた。
シンシア・ラミス
この法案は超党派の支持を得ており、米国議会で可決される最初の主要な暗号化改革法案になると予想されている。下院の少なくとも3人の民主党議員はすでにこの法案を支持しているが、トランプ大統領の長年の反対者であり、彼の仮想通貨ビジネス慣行を批判しているウォーターズ議員の懸念は、より広範な民主党の支持を損なう可能性がある。
下院金融サービス委員会の共和党報道官ブルック・ネザーコット氏は声明で、委員会は「ステーブルコインに関する取り組みを今後も進めていきたい」と述べた。
「この市場に明確な基準を求めるなら、現状維持は答えではない」と彼女は語った。 「ドル決済用のステーブルコインが米国で普及できるよう、両党の議員が明確な規制ガイドラインの策定に懸命に取り組んでいる。」
トランプ一家によるステーブルコインの立ち上げは、最終的には共和党の仮想通貨法案可決の妨げにはならないと広く信じられているが、政治的な障害を生み出す可能性は確かにある。民主党はこれまでトランプ大統領の仮想通貨関連行動について懸念を表明してきたが、最終的には業界に有利な法案に賛成票を投じた。この法案を支持する民主党は、トランプ一家が規制から利益を得る可能性があるにもかかわらず、米国はデジタル資産に対する軽い規制を切実に必要としていると主張している。
「いずれにせよ規制は必要だが、これは明らかに役に立たない」ニューヨーク州の民主党上院議員でステーブルコイン法案の共同執筆者でもあるキルステン・ギリブランド氏は、トランプ大統領の会社がステーブルコインを立ち上げたというニュースについてコメントした。
「本来真面目なはずの金融決済システムが冗談のように見えてしまう」と彼女は語った。
トランプ氏に近い共和党員らは感銘を受けなかった。
「問題だとは思わない」とバイロン・ドナルド下院議員（共和党、フロリダ州）は語った。彼は大統領の側近であり、金融サービス委員会の委員でもある。
下院でこの法案の主要提案者であるブライアン・ステイル下院議員（ウィスコンシン州共和党）は、ワールド・リバティ・ステーブルコイン・プロジェクトについて懸念があるかとの質問に対し、共和党は「すでにある法案の条文に注目している」と記者団に語った。
ワールド・リバティのステーブルコイン「USD 1」は、同社のMediumでの発表によると、米ドルの価値に固定され、「短期米国債、米ドル預金、およびその他の現金同等物によって裏付けられる」という。同社はWLFIと呼ばれる別の暗号トークンも販売している。
米国のステーブルコイン発行者は、ドルに連動するトークンをどのように規制すべきかを明確にする法律制定を求めて長年ロビー活動を行ってきた。この法案が可決され、業界に新たな正当性がもたらされれば、彼らは大きな利益を得ることになるだろう。検討中の法案は、ステーブルコインの発行者に対する監督権限を持つ規制当局と、これらの企業が保有する必要がある準備金の種類を明確にする新たな規則を作成するものとなる。
先週水曜日、ワシントンで開催された主要な暗号通貨カンファレンスで、ワールド・リバティの共同創設者ザック・ウィトコフ氏は、同社はステーブルコインの市場規模が今後数年で「数兆ドル」に達すると予想していると述べた。
ザック・ウィトコフ
「ステーブルコインは暗号通貨の一部であるだけでなく、金融エコシステム全体にとって不可欠な部分であると私たちは信じている」と彼は語った。彼の父親であるスティーブ・ウィトコフ氏はトランプ大統領の中東担当特使だった。
彼は、プロジェクトの他の共同創設者であるザック・フォークマン、チェイス・ヘロ、ドナルド・トランプ・ジュニアとともに会議のステージに立った。下院金融サービス委員会のフレンチ・ヒル委員長や上院銀行委員会のティム・スコット委員長など、仮想通貨賛成派の議員もイベントで講演したが、他の討論パネルにも参加した。
ドナルド・トランプ・ジュニア氏はイベントで、従来の金融システムが保守派に対して極めて「差別的」であると感じたため、暗号通貨分野に参入したと述べた。
「未来には限界がない」と彼は言った。
